Environment
ペンギン・ランダムハウス、パレスチナをテーマにした児童書の出版を発売直前に中止
世界有数の出版社であるペンギン・ランダムハウスは、パレスチナの歴史とパレスチナ人の闘いをテーマにした児童書について、書店での発売を数日後に控えた段階で出版を中止した。
- Reading time
- 4 分で読めます
- 公開
- 2026/10/17 7:45

Environment
世界有数の出版社であるペンギン・ランダムハウスは、パレスチナの歴史とパレスチナ人の闘いをテーマにした児童書について、書店での発売を数日後に控えた段階で出版を中止した。

世界有数の出版社であるペンギン・ランダムハウスは、パレスチナの歴史とパレスチナ人の闘いをテーマにした児童書について、書店での発売を数日後に控えた段階で出版を中止した。
英国紙『ガーディアン』によると、パレスチナ系米国人の著者らと出版社の間で、パレスチナの歴史や2023年10月7日のハマスによる攻撃の描写をめぐり意見の相違が生じていた。
ペンギン・ランダムハウス傘下のランダムハウス・チルドレンズ・ブックスは、2024年11月、アラナ・ハディド氏とジャナン・マタリ氏との間で出版契約を締結した。『Displacement and the Palestinian American Story(強制移住とパレスチナ系米国人の物語)』と題されたこの本は、今年9月に発売される予定だった。
アラナ・ハディド氏は社会活動家で、慈善活動にも携わっている。一方、ジャナン・マタリ氏は受賞歴のある作家だ。アラナ氏は著名なモデル、ベラ・ハディド氏とジジ・ハディド氏の姉妹でもある。
10歳から13歳の子どもを対象に書かれた同書は、パレスチナの歴史、イスラエルによる占領、抵抗運動、そして世界各地で暮らすパレスチナ人の経験を取り上げている。また、著者ら自身の家族が経験した移住や強制退去の物語も盛り込まれている。
著者らは、同書の原稿と出版社との電子メールのやり取りの一部を『ガーディアン』に提供した。著者らによると、数か月にわたって続いた対立の主な原因は、2023年10月7日のハマスによる攻撃をどのような言葉で描写するかという問題だった。
著者らの原稿には、植民地支配下で暮らす人々には抵抗する権利があると記されていた。一方、出版社側は、10月7日の攻撃が国際法に違反していたことを認めるよう著者らに求めた。
同紙によると、編集者は原稿に「これらの行為は国際法違反だった」という一文を追加した。その後、著者らは9月初旬に出版を取りやめることを決めた。
ジャナン・マタリ氏はインスタグラムへの投稿で、ペンギン・ランダムハウスのような大手出版社と仕事をすることは長年の夢だったと明かした。しかし、自分のコミュニティへの忠誠を犠牲にしてまで、その夢を実現したいとは思わなかったと述べた。
同氏は、個人的な成功のために自分の信念を犠牲にしないという決断が重要だと強調した。また、抑圧された人々が抵抗する権利を理解することは、植民地主義の影響から精神的に解放されるうえで重要だと指摘した。さらに、他者の都合や個人的な成功のために、自分のコミュニティの利益を犠牲にするつもりはないと述べた。
一方、ランダムハウスの広報担当者は『ガーディアン』に対し、同書の制作は出版社の通常の出版手続きに沿って進められたと説明した。また、著者らの決断を尊重するとともに、若い読者にパレスチナ人の視点を届けるという姿勢に変わりはないと述べた。
今回の動きは、アイルランドの小説家サリー・ルーニー氏の著書についても、英国で販売が停止される可能性が報じられた翌日に明らかになったものだ。ルーニー氏は、パレスチナを支持する団体「パレスチナ・アクション」を資金面で支援するため、自身の著書から得られる印税を活用する意向を示していた。
英国政府は昨年、同団体をテロ組織に指定して活動を禁止した。この禁止措置については、現在、法廷で争われている。
『Normal People(ノーマル・ピープル)』や『Conversations with Friends(カンバセーションズ・ウィズ・フレンズ)』などの小説で知られるルーニー氏は、これまでもパレスチナ・アクションへの支持を表明してきた。同氏は、禁止措置に異議を申し立てるためロンドンの高等法院で進められている法的手続きに提出した陳述書の中で、自身の決断によって英国で著書の販売が停止される可能性があると述べていた。