Politics
セルビア:学生運動がヴチッチ大統領の14年にわたる権力基盤を揺るがす、議会選挙で与党が敗北
汚職や政府の説明責任の欠如に抗議する約2年間にわたるデモを経て、学生運動は選挙の舞台でも成果を上げた。2024年に鉄道駅の屋根構造の一部が崩落し、16人が死亡した事故が抗議活動の発端となった。暫定的な議席予測によると、ヴチッチ氏の政党は定数250の議会で約105議席にとどまる可能性がある。
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- 2026/10/26 19:48

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汚職や政府の説明責任の欠如に抗議する約2年間にわたるデモを経て、学生運動は選挙の舞台でも成果を上げた。2024年に鉄道駅の屋根構造の一部が崩落し、16人が死亡した事故が抗議活動の発端となった。暫定的な議席予測によると、ヴチッチ氏の政党は定数250の議会で約105議席にとどまる可能性がある。

汚職や政府の説明責任の欠如に抗議する約2年間にわたるデモを経て、学生運動は選挙の舞台でも成果を上げた。2024年に鉄道駅の屋根構造の一部が崩落し、16人が死亡した事故が抗議活動の発端となった。暫定的な議席予測によると、ヴチッチ氏の政党は定数250の議会で約105議席にとどまる可能性がある。
セルビア政界で大きな変化が起きている。長年にわたり同国の政治を主導してきたアレクサンダル・ヴチッチ氏が、学生主導の政治連合に議会選挙で敗北したことを認めた。10月25日に実施された前倒し選挙の暫定推計によると、学生が支持する「学生リスト」は定数250の議会で135~140議席を獲得する可能性がある一方、ヴチッチ氏率いるセルビア進歩党(SNS)は約105議席にとどまると予測されている。ヴチッチ氏は支持者を前に、「われわれが今回の選挙で敗れたことは明らかです。学生リストが勝利しました」と述べた。この発言は、2014年以降、首相または大統領としてセルビア政治に大きな影響力を及ぼしてきた同氏にとって、大きな打撃となる。ただし、これらは暫定的な議席予測であり、最終的な公式結果として扱うべきではない。
選挙結果が明らかになると、首都ベオグラードをはじめ各地で学生運動の支持者が街頭に繰り出した。人々は車のクラクションを鳴らし、スローガンを叫び、集まって勝利を祝った。投票率も異例の高さとなった。選挙当局や世論調査機関の推計によると、投票率は約70%に達したとされ、1992年のユーゴスラビア解体以降で最も高い水準と報じられている。この高い投票参加率は、今回の選挙が単なる政党間の争いではなく、多くの市民がセルビアの政治の将来を決めるために行動したことを示している。
事故をきっかけとした抗議活動は、どのように全国的な運動へと発展したのか
この運動の発端は、2024年11月1日に起きた事故にさかのぼる。セルビア北部の都市ノヴィ・サドにある鉄道駅で屋根構造の一部が崩落し、16人が死亡した。事故後、学生たちは透明性のある調査、責任者の追及、公共機関の説明責任を求めた。当初、抗議活動は事故の調査と行政上の過失疑惑に焦点を当てていたが、時間の経過とともに要求の範囲は広がった。デモ参加者は政府に対し、汚職、公共機関への政治介入、権力の私物化などを批判した。ヴチッチ氏と同氏の政党は、こうした आरोपを否定した。
大学生が主導した抗議活動には、教員、医師、活動家をはじめ、社会のさまざまな層が参加した。運動は最終的に選挙政治へと進出し、「学生リスト」の名称で候補者を擁立した。このリストには、従来型の政治家ではなく、大学教授、医師、芸術家、農家など、さまざまな職業の人々が名を連ねた。運動の主要人物の一人には、ノヴィ・サド大学医学部の教授で心臓専門医のイリヤ・スルダノヴィッチ氏がいる。
学生連合は、汚職対策、公共機関を政治的影響から解放すること、法の支配の回復、市民の権利の保護を主要な要求に掲げた。また、普段は選挙に参加しない有権者にも支持を広げようとした。ヴチッチ氏の政党は、組織化された政治基盤と安定した支持層を持っていたが、学生運動は長期にわたる抗議活動を通じて支持を拡大し、それを選挙での力へと転換しようとした。
ヴチッチ氏の政治経歴と権力からの後退
アレクサンダル・ヴチッチ氏は、2012年以降、セルビア政府の要職を歴任してきた。2014年に首相に就任し、2017年には大統領に選出された。2022年に再選された際、大統領としての任期は2027年まで続く予定だった。しかし、抗議活動による継続的な圧力を受け、同氏は2026年9月に大統領を辞任し、前倒しの議会選挙への道を開いた。狙いは、自らの政党を通じて政権に復帰し、首相の座を確保することだった。
ヴチッチ氏の支持者は、同氏の政権運営を経済発展や高速道路、鉄道、学校、病院の新設と結びつけて評価している。在任中には、経済の拡大や外国投資の増加を示す統計も提示されてきた。一方、批判派は、こうした発展の主張にもかかわらず、汚職、生活費の上昇、国家機関への政治的影響力といった問題が解消されていないと指摘する。これらの問題は、学生運動の抗議活動や選挙運動でも大きな争点となった。ロイター通信によると、2012年以降、セルビアでは失業率が低下し、経済全体の規模も拡大したが、生活水準やインフレをめぐる疑問は政治論争の一部であり続けている。
選挙前、ヴチッチ氏は学生たちが反政府活動について外国勢力から支援を受けているとも主張したが、運動側はこれを否定した。人権活動家や政府批判派は、抗議活動の最中に圧力や弾圧が強まったと訴えた。一方、ヴチッチ氏と同氏の政党は、反対派に対する弾圧、汚職、スパイ活動などの疑惑を繰り返し否定してきた。選挙運動中もこうした主張をめぐる対立は続いたため、確定した事実ではなく、それぞれの当事者による主張として扱う必要がある。
新政権が直面する主な課題
学生連合が選挙で成果を上げたものの、新政権を誰が率いるのか、また運動が公約をどのように実行するのかは、まだ明らかになっていない。候補者の多くは、従来の国政において広く知られた人物ではない。汚職対策、警察や治安機関の改革、法の支配の回復といった公約を実現するには、高い行政能力が必要となる。
外交政策も新たな指導部にとって大きな試練となる。セルビアは中国と投資・経済面で関係を持ち、ロシアは伝統的な同盟国であり、天然ガスの主要供給国でもある。一方、欧州連合(EU)はセルビアにとって最大の貿易相手である。学生運動は国内制度の改革と汚職の根絶を重視してきたが、中国、ロシア、EUとの関係について、今後どのような政策を取るのか、その詳細には不透明な部分が残っている。
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長をはじめとするEU当局者は、学生連合の成果を祝福し、法の支配、報道の自由、汚職対策、民主的制度の強化に向けた協力を申し出た。この反応は、セルビアの政治情勢の変化が国内だけでなく、欧州全体からも注視されていることを示している。
選挙過程では、不正や不規則行為に関する苦情も寄せられた。独立系選挙監視団体CRTAは、監視対象とした500か所の投票所のうち、約3分の1で有権者や選挙スタッフへの圧力があったとする事例を記録したと発表した。別の選挙監視団体CeSIDにも、投票の秘密、投票用紙の撮影、投票手続きに関する不規則行為の可能性について、数百件の苦情が寄せられた。こうした苦情の存在は、選挙監視と最終結果の透明性が重要であることを浮き彫りにしている。
今回の結果がセルビア政治にとって重要なのは、学生運動が約2年間にわたる街頭抗議を選挙運動へと転換し、経験豊富な与党から議会の過半数を失わせる可能性のある状況を生み出したためだ。今後の最大の課題は、運動が選挙での成果を、安定した政権、制度改革、そして汚職に対する具体的かつ測定可能な対策へと結びつけられるかどうかである。